10月28日の慶應義塾大学理工学部「貢献工学」に弊社取締役研究開発センター長の小池豊が講師として登壇しました。
「地雷除去活動 ジオ・サーチ・慶應義塾大学の関わりと将来への展望 ~貢献する気持ちがあれば、誰もが、何にでも挑戦できる~」と題し、タイ、カンボジア国境付近における「人道目的の地雷除去支援の会(JAHDS)」での現地活動とその根本にある考え方について講演しました。
また、サブ講師として教壇に立った慶應義塾大学の卒業生から、学生時代に立ち上げた団体でJAHDSを財政支援する活動を行ってきたエピソードのお話があり、前回講義の「人は、社会のため、人のためになぜ貢献しようとするのか?」という問いかけに対し、実際に貢献するために自発的に考え、行動する人達がいる。という身近な現実に触れる機会となりました。履修された学生の皆さんには、貢献工学への理解を更に深めていただく事ができたのではないでしょうか。
学生の皆さんからいただいた主な感想や意見(抜粋)
・今回のお話で印象に残ったのは、「地雷除去の本質は地雷を何個除去したか、ではなく、その場所に地雷が無いことを保証することだ」ということです。
やる気や熱意だけではどうにもならず、確かに地雷が無いことを証明できるだけの技術と、実際に地雷除去を行う人々への信頼が必要になってくると思います。更にJAHDSの活動が現地への事業移管まで辿りつけたのは、この本質を最初から最後まで見失わなかったからだろうと思います。問題解決の本質を見失わないということはあらゆる問題に対して大切だと感じました。
・すごいと思ったのは、地雷除去は単なる手段であり、目的ではないという点である。最終的には、安全な土地を使用してその地域の人々が自らの力で復興することが目的である。日本の支援で地雷除去を行うだけではなく、周辺の人々を地雷除去員として指導して、さらにその事業をタイの人々が全て受け継ぎ、今も活動を続けていることは素晴らしいことだと思った。プレアヴィヒア寺院を世界遺産に登録するに至ったという成果は本当に大きいものだと思う。
・人間の欲求として確かに貢献心が存在すると思った。劣悪な環境下でも、活動を続けることができたのは、正に「貢献したい」という気持ちがあったからだと思います。
貢献する気持ちがあれば、誰もが何にでも挑戦できるという言葉が非常に参考になりました。自分のために何かをするのも非常に素晴らしいことですが、やはり「誰かのため」を自分の使命にしたとき、人は本来以上の力を発揮できると思います。貢献工学はここに本質があると思います。
・私たちが社会に貢献すると考えるとき、どうしても大上段に構えてしまう。“結果はあとからついてくる”と信じ、今自分が取り組むべき行動に邁進する大切さも学び、そういった意識の積み重ねが、いつの間にか社会に役立つのだと感じた。
日頃から社会問題に対して疑問を持ち、その対策を自分なりに考え、実際に行動に移すことが非常に大切であるということを考えさせられた。
誰にどのような形で貢献できるかを考える事は、近い将来自分の仕事を選ぶ際に重要だと思うので、今回の講義を通して誰かのためになるような活動を今後見つけていきたい。
・地雷除去のためのマインアイの開発などに科学者が貢献している一方で、地雷の効率的な散布システム、殺傷力の高い地雷の開発にも科学者が携わっていることを思うと、複雑な気持ちになります。技術は技術として進歩、研究されていくべきだが、それを用いる人間のモラルも同時に進歩していかなくてはならないと強く感じた。
以 上