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2017年10月25日

慶應義塾大学貢献工学・減災学講座2017年度 第3回講義が開催されました


2017年10月25日(水)慶應義塾大学理工学部矢上キャンパスにおいて本年度第三回目の「貢献工学・減災学」を開催し、弊社社長・冨田洋によるご紹介の後、現職の高島宗一郎福岡市長にご登壇いただきました。




高島市長は、東日本大震災における善意の支援が逆に被災地では負担となった事案も踏まえ、熊本地震や博多駅前陥没事故においては、SNSを活用したリーダーとしての情報発信による安心感の醸成、現地におけるリアルなニーズの収集、救援物資の仕分けと輸送の混乱防止、ゴミ処理対応、ボランティアのオペレーションなど、被災地に負担をかけない「自己完結型の支援」を創造・実践され、その優れたノウハウは、今後の日本における災害対応のスタンダードになっていくものと思います。



また、その際に得られた教訓から、オール九州の自治体による地域連携作り、スタートアップ企業との新たな連携によるICTやテクノロジーの活用による防災アプリの開発など、新たな取り組みにもリーダーシップを発揮されています。

ご多忙にも拘らず、時間の許す限り多くの学生からの質疑にも応じてくださり、マスコミ出身ならではのユーモアも交えながら、ときに博多弁も飛び出すほど学生の皆さんへ熱く語りかけていただきました。大変参考になる講義に学生の皆さんも釘付けとなって聴講していたのが印象的でした。


学生の皆さんからいただいた主な感想や意見(抜粋)

・高島市長は、災害時の「自己完結型」の支援が見本となり、日本各地でその支援方法がとられることを期待していたが、各地の市長はしっかりそれを受け入れるのかどうか気になった。場所によっては災害が起こりにくいからとか、起きてから考えるとか言って準備をしない人もいるのではないだろうか。特に高齢の人に(偏見かもしれないが)。市長も言っていたが、国がよくなるには、国単位で何かをしてみるより、県や市など小さい範囲で物事を試し、実践して成果を分かりやすい形で示すのがよいと私も思った。その成果に、他の市や県、またそして国が真摯に向き合うことが大事で、それに適したリーダーを選ぶ義務があるのだと感じた。

・高島氏は、「日本は国の運営の現場に携わる若い人が足りない」と述べていたが、まさに旧来の行政の「決定が遅い、融通が利かない」といったイメージを覆す新進気鋭の首長という印象を受けた。熊本地震では、「自己完結型支援」という被災地に負担をあまりかけず、被災地のニーズを的確に把握した、集中的・効率的な支援を実現させた。こういう災害の時に「要請が来ていないから」「財源は自腹を切るのか」などと保守的・消極的になってしまうのが日本特有の悪いクセであるが、苦しんでいる人(被災者)に自分も何か出来ないかという良心から決断を下し、平時の規律に縛られることなく積極的な支援を行ったことに感銘を受けるとともに、自治体を(あるいは日本を)動かしていく人のあるべき姿だと感じた。

・今回の講演を聞いて、私も高島氏のような人になりたい、このような人がもっと増えたら良いなと思った。物事を多角的に捉えて問題点を分析し、既存の枠に捉われることなく斬新な解決案を提案することは、まさに私がシステムデザイン工学科で学び、目指すところであると思った。高島氏の話を振り返ってみると、全ては「主体性」に尽きるのではないかと思う。災害被害を他人事として考えるのではなく、自分にできること、自分にしかできないことをよく理解して主体的に行動していた。また、「批判より提案、思想より行動」という言葉にも主体的に動く姿勢が表れていると思う。最近のニュースに対するコメントや政治を見ると、批判、思想する人はとても多いと感じるが、それが提案、行動に変われば日本はもっと良くなるはずだ。主体的な工学は貢献工学に通ずるものがあると思う。そのような工学を今後目指したい。

・今回の講演で、新しい視点と考えを持った若者が新しい手法を次々と提案してすぐに実行していくことの重要さを知り、社会を発展させていくには若者の積極性が必要だと思った。SNSの発展によって多くの若者の意見や発想が短時間で拡散・共有される時代となった。しかし、発信に対する批判の多さからか保守的な若者が多く、行動に移す者が少ないように思われる。この問題を解決するには、自らリーダーとなって実例を作っていくことと若者が社会を引っ張るという風潮をつくっていくことが重要であると思った。今後は自ら行動を起していかなければならないと思った。

・東日本大震災が起こった際、日本全国の人が東北の人々を助けたいと思い物資をたくさん送ったが、実際はその管理がしきれずに上手く機能しなかったという話は、僕もニュースで聞いたことがあった。驚いたのはその失敗からきちんと反省をし、新たな支援モデルとして“自己完結型の支援”を作りだし発信されていた事だ。この考え方は小泉純一郎さんもおっしゃっていたように、人は失敗するが、そこからきちんと学べば次に繋がる。また人を助ける気持ちは大切だが、その方法も相手の負担にならないことが大切であるというのは、貢献工学においてとても重要な要素の一つであると強く感じた。また、この震災から学んだことをレポートにして全国に伝えると同時に、避難所への物資の問題や防災アプリの開発など新たな試みに挑戦しているのも面白いと思った。普通、政府や自治体がそこまで関与しない問題にも積極的に取り組んでいるので、新しい考え方を持った人だという印象を受けた。

以 上